感染予防の基本
先日テレビで、
「マスクは風邪を引いていない人の風邪やインフルエンザの予防にはならないんです」
という話題を取り上げて、コメンテーターが
「ええー!そうなのー!」
というやり取りをしていた。
さも衝撃的新事実と言わんばかりに内容だけ取り上げて、その根拠についてはスルーであった。
感染予防の知識が一定以上あり、常に感染に気を配っている、医療福祉関係者からすれば、そんなことは当たり前なことであるが、
インフルエンザに感染しても仕事を休めばいいか、位にしか考えない一般の方々からすれば、その内容の根拠なんて興味すらないのだろうか、と疑問に感じた。
施設、居宅介護問わず、感染予防とは言うものの何をするべきか分からない、と言う職員は意外と多いのかもしれない、と、インフルエンザなど感染症が目立って流行り出すこの時期になると毎年のように思う。
しかし、感染予防についての知識がないことは、最悪の場合、個人よりも職場や法人が責められることとなる。
管理者レベルの方々には、その事を常に考えて頂きたいというのは、平ケアマネとして願うことである。
では、最初にあげた
「マスクは風邪を引いていない人の予防にはならない(なりにくい)」
と言うのは、どのような根拠からなのだろうか。
感染予防の基本は、感染経路を知ることから始まる。
感染経路として、大まかに
・飛沫感染
・接触感染
・空気感染
に分けられ(重複するものがほとんどだが)
それらの感染経路ごとに対策は異なる。
今回はインフルエンザに限って書くと、
インフルエンザの感染経路は、
・飛沫感染
・接触感染
である。
飛沫感染の感染予防としては、
・保菌者のマスク着用
・非保菌者のマスク着用
など、保菌者の咳やくしゃみを浴びないことがあげられ、
接触感染の感染予防としては、
・菌を手など体に着けない
・こまめな手洗い、手指消毒
など、体に付いた菌が主に口を通して体に入らないようにすることがあげられる。
そこで、風邪(インフルエンザ)の予防として、マスクの着用だけでは不十分である、というテレビの内容に繋がる。
この程度の感染予防の考え方は、私が威張りくさって言うような内容ではなく、一般の方々も知っているべき内容で、
「小難しいことを言うと視聴率がとれないから…」などと考えたかは知らないが、目を引く内容だけ大袈裟に取り上げないで、その根拠も取り上げるべきだと、一人で悶々としていたのだった。
もちろん、特に免疫の弱い高齢者などを介護するような場所では、施設であれ居宅であれ、スタンダードプリコーション(標準予防策)の意識は常に持たなければならないし、
そのような場所ではこの時期だけでなく、オールシーズンで徹底していかなければならない。
そして、「徹底しなさい」だけで徹底できれば苦労はせず、特に施設の場合は、どのようにすれば徹底できるか、というところまで積める必要がある。