ケアマネージャーが思うことを呟いていくブログ

現職ケアマネ、前職社会福祉士、介護福祉士が福祉、医療、その他興味があることを書き捨てるだけの自己満ブログ

ケアマネはリーダーなのか

施設の相談員は、いわゆる中間管理職と呼ばれることが多く、施設全体から見たときに立場はだいたい施設長や事務長の下になって現場と施設長や事務長の橋渡しになる施設も少なくない。

では、ケアマネもそれ同等の立場にいるべきなのだろうか。


まず、ケアマネの基本的な役割りとしては、
・担当者会議開催の日程調整と、進行役
・ケアマネジメントの一連の流れを行なう
・意思表明が難しい入居者の代弁機能
が、大まかなところであるが、
実際どこにもリーダー的な役割はないと考える。

これを言うと、現場の職員さんからは、
「そんなことはない、担当者会議で中心的に話してるじゃないか」
と、言われる人もいるかもしれないが、
これは会議の進行の方法が問題なのだろう。

会議を開くとどの職員もうつむき資料を見ている。
だから自分がある程度考えた内容を話し続け、現場職員は「うん、うん」と頷き会議が終わる。

これでは、上のようなことを言われても仕方がない。


本来担当者会議では、
中心的に話をするのは現場職員であるべきだ。

ではなぜ、現場職員は頷くだけなのか。

考えるに、
・何を話したらいいか分からない
という思いが主にあるのだと思う。

そのヒントを出し続けるのが、進行役のケアマネの役割だ。

例えば、
「本人家族ニーズ→実際→ニーズと実際の差を埋めるための目標(短期、長期)→具体的サービス」
という流れを、プラン(案)として会議に出すが、

それはあくまで(案)であり、すらすら読んで「これでいいですね」で終わらせていいものではない。

現場職員には、「実際」や「目標」からあとを検討してもらう必要がある。

しかし、「この人の目標は○○です、サービスはどうしますか?」と聞いても答えられることはほぼない。
ヒントが少なすぎるからだ。

そのヒントとなりうるのが、リスクの視点だ。

「この入居者は○○というニーズがあるけど、実際は○○です。どう思いますか?」
という質問に、リスクのヒントをつけると、

「この入居者は○○というニーズがあるけど、実際は○○です。そうすると○○というリスクが生じてきます。○○というリスクを回避するためには現場としてはなにができますか?」
という聞き方をすると、ほぼ答えが返ってくる。

例えば、「この人は転ばずに歩きたいという目標がありますが、どうしますか?」

と聞かれてもなかなか即答は難しいが、

「この人は自分で歩きたいけど、入居後は部屋と食堂が遠くて歩くのが大変なんです。10m位なら安全に歩けるけど、今は20mくらいあるんです。席にいくまでに車イスの他入居者が多くいて危険ですし。独歩だからふらつくんですよね。どうにか安全に移動できるようになりますかね?」

と聞くと、

「じゃあ、近くのところに部屋か席を代える?長距離移動は歩行器使う?能力落ちないように歩行練習も必要だよね」
という答えが返ってきやすい。
そして、その答えからは実際現場職員として働いてこその意見も、決して少なくない。
ケアマネ個人では絶対に思い付かないだろう答えが返ってくることも多い。

この例は、いくらかバカにしているとも思われるが、職員の経験やレベルによってはこれくらいヒントを出すことも必要となる。
そして、そこからとんでもない良策が出てくることもある。

そして、現場職員が考え、意見を述べることが当たり前の流れになれば、担当者会議以外の時間でも「このプラン現状と差があるからこう直した方がいいよ」という話をもらうことができる。

「現状でのリスク」というヒントを出し続けることが、現場としてはの発言を促し、より機能的なプランを作るコツであると考える。