ケアマネージャーが思うことを呟いていくブログ

現職ケアマネ、前職社会福祉士、介護福祉士が福祉、医療、その他興味があることを書き捨てるだけの自己満ブログ

知的・精神障害者と認知症患者を一緒に考えてはいけない

介護施設で働いていると、認知症の利用者もいれば、知的・精神障害の利用者もいる。
少し話しただけだと、どちらも同じような反応や返事が返ってくるので、対応も同じようなものになってしまいがちだ。

しかし、両者には明確に異なることがある。
発症の原因や病状が異なるのはもちろんだが、それ以前に理解しておかなければいけない根本的なことがある。

それは、知的・精神障害者認知症の利用者やいわゆる健常者とは生活歴や育ってきた環境が全く違う可能性がある、ということだ。
(ここでいう知的・精神障害者は、若い年齢で発症した人のことを言っている)

認知症の利用者は、一度経験や知識を獲得しているのに対し、知的・精神障害者はそもそも経験していない、獲得していないことも多い。

例えば、特別支援学校を出た人は、小学校や中学校に通う生徒に比べ、交流や進学にかなりの制限を受ける。
そのほか、家庭環境や結婚、仕事など、健常者とは全く異なる環境で生活してきた人もいる。


健常者と同じ経験をしていないことが多いために、過去の生活歴などを健常者の職員から聞かれても答えられない人もいる。
聞いた質問に反応がないと、支援者側から何らかの認知機能障害と判断されてしまうこともあるが、実は経験がないことから支援者の質問の意味や意図が分からず困惑しているだけ、ということもある。


そして、自身の存在を他者から受け入れられて来なかった、蔑まれてきた、という人も少なくない。

ことことが、信頼関係の構築に時間がかかったり、自分の意思を全く言わなかったりすることの理由でもある。

このような、過去の経験から他者を拒絶するようになったという、ある意味当然の反応を、
支援者が「障害者だから自分の殻にとじ込もって意見を言わないのかも」などと勝手な解釈をしてはいけない。


もちろん知的・精神障害者全員がそのような環境で育ってきたとは限らない。
しかし、すくなからずその可能性があるということを念頭に置いて接することも必要ではないだろうか。

知的・精神障害者の利用者の生活歴は、情報から得るだけでは、感情面の理解まで認知症利用者と比べてしにくい。
だから、書面の情報に加えて、本人からの聞き取りとその反応に特に注目してアセスメントをする必要があると感じる。